アーカイブ : 2010年 10月 29日

FX業者の経営実態調査結果を発表

成長は頭打ち、競争激化やレバレッジ規制により今後淘汰が進む
~収入高総額は前期比1.3%減、大手と中堅で格差あり~

 円高に関するニュースが連日報道され、為替の動向に注目が集まっている。史上最高値(1ドル=79円75銭)に迫る勢いで円高が進んでおり、企業の経営に及ぼす影響は計り知れない。こうした円高基調のなかで、FX(外国為替証拠金取引)への注目が集まっている。為替相場の高い変動率を背景に、長い取引時間や効率的な資金活用ができるレバレッジなどの利便性の高さから、近年では株式取引に次ぐ人気を集めている。
 帝国データバンクでは、2010年10月時点の企業概要データベース「COSMOS2」(134万社収録)から、FXの専業者を抽出し、収益動向などについて調査・分析を行った。なお、FXを扱う銀行や証券会社などについては今回の対象には入っていない。同様の調査は今回が初めて。

 主要48社の2009年度(2009年4月~2010年3月期決算)収入高総額は1357億8600万円となった(前年度比1.3%減)。年収入高50億円以上の大手では増収となった業者が多い一方で、中堅業者では減収となったところが多く、勝ち組と負け組の二極化傾向が見えはじめている。

主な内容
1. 収入高総額の推移 ― 2009 年度は前年度比1.3%減
2. 収入高の前期比較 ― 大手と中堅で二極化の傾向
3. 従業員数 ― 20 人未満の業者が約半数を占める
4. 業歴 ― 約8 割が10 年未満の新興企業
5. 収入高上位10 社 ― 2009 年度の1 位は外為オンライン

FX業界は、事業環境の大きな変化にさらされている。新規顧客獲得のための業者間の競争が
激化の一途をたどり、手数料競争から低スプレッド競争、さらには高レバレッジ競争とサービス
の角逐が続いた。ついには数百倍ものレバレッジを売りものとする業者も現れたが、加熱するシ
ェア争いのなかで強まる投機色を抑えるために、信託保全の義務化やロスカットルールの整備・
遵守など、金融庁による規制強化が行われた。
2010 年8 月1 日からは上限50 倍のレバレッジ規制がはじまり、2011 年には25 倍までに規制さ
れる予定である。このレバレッジ規制を期に、高レバレッジで短期売買を中心に行う個人投資家
が離れていくとみられており、取引高の減少が予想される。税制優遇のある取引所FXへシフト
する業者も相次いでいるほか、度重なる規制に対応できず、不振企業の淘汰や業界再編も今後進
んでいくだろう。日興コーディアル証券は10 月末でのFX事業の撤退を発表。他にも、11 月には
FX ZEROがひまわり証券に合併される予定であり、今後もこうした動きは加速していくこと
が予想される。また、金融先物取引法が改正された2005 年にはFX業者の倒産が39 件も発生し
ている(帝国データバンク調べ)。規制の影響で、倒産する業者の増加が懸念される。