アーカイブ : 2010年 8月

対外純資産

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 対外純資産とは、国全体として、政府、企業、個人が外国で保有している資産から、外国から国内への投資(負債)を差し引いたものを指します。対外資産としては外貨準備、援助、銀行の対外融資、日本企業の対外直接投資等があります。対外負債は外国人の対日証券投資、邦銀による外貨資金の借り入れなどがあります。
 対外純資産がプラスの場合、対外純資産といいますが、マイナスの場合は対外純債務といいます。一般的にいって、国際収支の経常勘定が大幅な黒字を続ければ、対外純資産は大きくなり、逆の場合には対外純債務が大きくなります。対外純資産が大きくなれば、外国からの利子や配当の受取りが外国への利子・配当の支払いを上回るため、経常収支の黒字がさらに大きくなります。逆に、対外純債務が大きくなれば、利子・配当が支払超過となるため、さらに経常赤字が増えることになります。
 日本では、経常収支の大幅黒字が続いてきたため、対外純資産が年々増加しています。2007年末の対外資産残高は610.5兆円、対外負債残高は310.3兆円で、対外純資産は250.2兆円に上っており、17年連続で世界最高となっています。なお、同年の経常収支は24.8兆円の黒字でしたが、そのうち所得収支(その大部分が利子・配当の収支)は16.3兆円の黒字で、貿易黒字の12.3兆円を上回っています。

通貨切下げ

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 通貨切下げとは、固定相場制を採用している国が、固定相場を自国通貨が弱くなるように、つまり、より少ない外貨としか交換できないように為替レートを変更することです。2つの通貨の交換比率が一定である固定相場制では、経済変動などにより一方の通貨の価値が大幅に下がると、その通貨の価値を下げるため、通貨切下げ等が行われます。通貨を切り下げると輸出品の相対価格が安くなるため、国内企業にとっては国際競争力が高まるという効果がありますが、一方で、輸入品の価格が上がるというマイナス面もあります。なお、通貨切下げは、固定相場制を採用している国が行うもので、日本や米国、英国などの変動相場制を採用している国では、市場原理により、為替レートは変動し、自動的に調整されます。

電信売相場

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 電信売相場(TTS)とは、銀行が顧客に対して外国為替を売却するときの相場のことで、銀行間決済相場(仲値)に手数料等をプラスして算定されます。たとえば米ドル相場のときは、仲値(TTM)が1ドル=120円の場合、手数料等1円を加えて1ドル=121円となります。なお、手数料は通貨によって異なります。
 TTSには金利的な要素は含まれません。仕向送金、輸入の本邦ローンやインパクトローンの期日決済、旅行用小切手の売渡し、外貨預金の預入れなどの際に適用される相場です。

電信買相場

電信買相場,でんしんばいそうば,TTB,Telegraphic Transfer Buying Rate

 電信買相場(TTB)とは、銀行が顧客から外国為替を買う場合の相場で、銀行間決済相場(仲値)から手数料等を差し引いて算定されます。たとえば、米ドル相場のときは、仲値が1ドル=120円の場合、手数料等1円を差し引いて1ドル=119円となります。なお、手数料は通貨によって異なります。
 TTBには金利的な要素は含まれません。被仕向送金の支払いや取立済手形の支払い、外貨預金の引出しなどに適用される相場です。

デュアルカレンシー債

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 デュアルカレンシー債(二重通貨建て債)とは、円貨建てと外貨建ての両面を持つ債券のことで、たとえば、払込みと利払いは円で、償還あるいは途中売却代金はドルで支払われるといった債券のことです。そのため、償還金もしくは途中売却代金は為替リスクの影響を受けることになります。なお、払込みと償還が円建てで、利金が外貨建てとなっている債券を「逆デュアル債」と呼んでいます。

プラザ合意

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 プラザ合意とは、1985年9月22日に、ニューヨークのプラザホテルで開かれた、5か国(日本、米国、英国、フランス、ドイツ)蔵相会議におけるドル高是正のための合意のことです。それまでのドル独歩高を、為替介入等を通じて政策的に修正し、貿易収支等の不均衡を為替相場の調整で是正するのが目的でした。プラザ合意の結果、円ドルレートは、プラザ合意直前の1ドル=240円の水準が、1985年12月末には1ドル=200円の水準まで修正され、1995年4月には一時、1ドル=80円を突破しました。

ポジション

 ポジションとは、外国為替などの金融取引や証券取引において、売越し、または買越しの状態になっている持ち高のことをいいます。すなわち、その持ち高分だけ相場変動のリスクをとっていることになります。買越し状態を買いポジション、売越し状態を売りポジションといいます。なお、金融機関の資金繰りにおいて、預金等と貸出等の差のことも(資金)ポジションといいます。

リバース・デュアルカレンシー債

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リバース・デュアルカレンシー債とは、発行と償還は円で行われるものの、利払いがドルなどの外貨で行われる債券のことです。投資家にとっては、円建ての債券よりも利率が高い点が魅力ですが、反面為替リスクがあります(償還が外貨で行われるデュアルカレンシー債よりも為替リスクは小さくなります)。なお、リバース・デュアルカレンシー債は、一般にクーポン・スワップを組み込むことで組成されます。

先渡取引

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 一般に、ある商品をある特定の数量、将来の一定の日に、現在定める価格で売買する契約を先渡取引といいます。この点では、先渡取引と先物取引とは同じです。しかし、先渡取引は商品の種類、数量、受渡しの時期、売買の場所等の条件を、すべて売買の当事者間で任意に定める相対(あいたい)の取引です。一方、先物取引は諸条件がすべて標準化、定型化され、金融商品取引所で行われる取引です。また、先渡取引は、期限日に現物を渡すことが原則です。そのため、期限日までの間に取引の対象商品の値動きによって契約を変更したり、解約したりする場合には、相手方との交渉が必要になります。一方、先物取引は期限日前にいつでも自由に反対売買、すなわち売り手は買い戻し、買い手は転売することによって、当初の契約を解消することができます。買戻しや転売はその時点の先物価格によって行われ、買戻しや転売による決済は、当初に成約した先物価格と反対売買時の先物価格との差額の授受(差金決済)で行われます。

TTM

TTM,てぃーてぃーえむ,Telegraphic Transfer Middle Rate

 TTMとは、銀行が顧客との間で外国為替を売買するときの売相場(TTS)と買相場(TTB)の中間値、すなわち仲値をいいます。午前10時に主要銀行が銀行間市場の実勢に基づいて公表しています。ただし、市場レートが1円以上動いた場合は、特定金額を超える金額については市場相場に応じて個別に対応され、2円以上変動した場合には公表相場の変更が行われることになります。