為替差益
為替差益,かわせさえき,カワセサエキ
為替差益とは、外国為替相場の変動によって生まれる利益のことです。他方、外国為替相場の変動によって生じる損失のことを為替差損といいます。
為替差益を居住者がドル預金をする場合を例に考えてみましょう。預金者が円の対ドルレートが1ドル=100円の時に100万円の資金を銀行に預けたとします。ドル預金の金額は1万ドルということになります。その後、為替レートが1ドル=110円になった時に預金を解約すれば、110万円が手元に帰ってきます。すなわち、10万円儲かることになります。この10万円が為替差益です。逆に、予想に反して為替レートが円高に向かい、1ドル=90円の時に解約すれば、手元に帰ってくるのは90万円となり、10万円の為替差損が出ます。
このように、居住者が対外投資をする場合、円安になれば為替差益が生じます。為替レートの動きを利用することによって大きな利益を上げることができるのです。
このことは海外投資の場合だけでなく、日本企業が外貨建て輸出をする場合にも当てはまります。輸出価格は輸出契約時に決められます。その時の為替レートが1ドル=100円であったとし、それを前提に1個の商品をたとえば200ドルで100個輸出することに合意したとします。輸出企業は予定では200万円の代金を受け取るはずでした。しかし、輸出手形を銀行に提示し、代金を受け取る時点で輸出時よりも円安の1ドル=110円になっていれば、受け取る円代金は220万円に増加し、20万円の為替差益が生じます。このように、海外投資の場合も、輸出の場合も、円安になれば為替差益が生じます。逆に、日本企業が外貨建てで輸入をする場合には、円安になれば為替差損が生じ、円高になれば為替差益が生じます。
為替差益が常に生ずれば結構ですが、そうなるとは限りません。為替レートは予期せぬ変動をするものです。したがって、輸出入を行う企業などは、輸出入の契約時に為替の先物予約を行い、為替差益も為替差損も生じないようにヘッジするのが普通です。