アーカイブ : 2010年 8月 12日

為替差益

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為替差益とは、外国為替相場の変動によって生まれる利益のことです。他方、外国為替相場の変動によって生じる損失のことを為替差損といいます。
 為替差益を居住者がドル預金をする場合を例に考えてみましょう。預金者が円の対ドルレートが1ドル=100円の時に100万円の資金を銀行に預けたとします。ドル預金の金額は1万ドルということになります。その後、為替レートが1ドル=110円になった時に預金を解約すれば、110万円が手元に帰ってきます。すなわち、10万円儲かることになります。この10万円が為替差益です。逆に、予想に反して為替レートが円高に向かい、1ドル=90円の時に解約すれば、手元に帰ってくるのは90万円となり、10万円の為替差損が出ます。
 このように、居住者が対外投資をする場合、円安になれば為替差益が生じます。為替レートの動きを利用することによって大きな利益を上げることができるのです。
 このことは海外投資の場合だけでなく、日本企業が外貨建て輸出をする場合にも当てはまります。輸出価格は輸出契約時に決められます。その時の為替レートが1ドル=100円であったとし、それを前提に1個の商品をたとえば200ドルで100個輸出することに合意したとします。輸出企業は予定では200万円の代金を受け取るはずでした。しかし、輸出手形を銀行に提示し、代金を受け取る時点で輸出時よりも円安の1ドル=110円になっていれば、受け取る円代金は220万円に増加し、20万円の為替差益が生じます。このように、海外投資の場合も、輸出の場合も、円安になれば為替差益が生じます。逆に、日本企業が外貨建てで輸入をする場合には、円安になれば為替差損が生じ、円高になれば為替差益が生じます。
 為替差益が常に生ずれば結構ですが、そうなるとは限りません。為替レートは予期せぬ変動をするものです。したがって、輸出入を行う企業などは、輸出入の契約時に為替の先物予約を行い、為替差益も為替差損も生じないようにヘッジするのが普通です。

為替

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 為替とは、現金以外の方法で金銭を決済することです。隔地者間での債務決済や資金移動を、現金輸送によらず金融機関を媒介して行います。決済される金銭の債権・債務が同一国内にある場合を「内国為替」、国際間にある場合を「外国為替」といいます。
 さらに、内国為替は、資金を債務者から債権者に送金する「振込み(送金為替)」と、資金を債権者が債務者から取り立てる「代金取立」とに分けられます。

外債

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 外債とは、一般的に発行者、発行場所、通貨のいずれかが外国である債券のことです。
 このうち、通貨で分類すると、外貨建て外債、円建て外債、2重通貨建て外債の3つに分類されます。外貨建て外債は米ドル建て、ユーロ建て等外貨建ての債券で、非居住者のみならず、居住者も国内外で発行します。日本の投資家にとっては為替リスクがつきまといます。これに対して、円建て外債は非居住者が国内外で、または、居住者が海外で発行する円建て債券であり、日本の投資家にとっては為替リスクが伴いません。このうち、非居住者が国内で発行するものを円建て外債(サムライ債)、居住者及び非居住者が海外で発行するものをユーロ円債と呼んでいます。また、2重通貨建て外債とはデュアル・カレンシー債や逆デュアル・カレンシー債といわれるものです。前者は、通常払い込みや利払いは円建てだが、償還が外貨建てのものを指します。これに対して、逆デュアル・カレンシー債は利払いが外貨建てで、他は円建てのものを指しています。

外国為替相場

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外国為替取引によって国際間の債権・債務を決済するためには、自国通貨と相手国通貨を交換する必要があります。この交換比率のことを外国為替相場といいます。基本的には、外国為替市場の需要と供給により決定されます。

外国為替市場

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外国為替の取引をする場のことを外国為替市場といい、外国為替市場における取引は、銀行とその顧客との間で行われる「対顧客取引」と、銀行間で行われる「インターバンク市場取引」に分けることができます。
 「対顧客取引」とは、貿易業者などが代金決済のために、また機関投資家などが海外投資を行う場合などに銀行と外国為替の売買取引を行うことです。一方、「インターバンク市場取引」とは、外国為替市場において、銀行と銀行が対顧客取引により生じた手持ち外貨資金の過不足の調整や、手持ち外貨の為替変動リスクを回避するために行う取引のことです。このほか、銀行は、為替変動による収益を求め、自己の計算と勘定による為替取引も行っています。インターバンク市場には、銀行のほか、為替ブローカーや日本銀行なども参加し、日本銀行は主として為替相場の安定を図るため市場に介入しています。
 なお、東京市場、ロンドン市場、ニューヨーク市場等の呼び名は抽象的なもので、特定の場所を指しているわけではありません。

外国為替

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 外国為替とは、通貨を異にする国際間で、直接現金を輸送することなく、銀行(広義の銀行)を媒介として決済もしくは資金移動取引をする仕組みまたは手段のことをいいます。
 そもそも、「為替」とは小切手や手形、銀行振込などを利用して、現金を輸送することなく、代金の支払いや受け取りをすることをいいます。このうち、国内での為替取引を内国為替、外国との為替取引を外国為替と呼んでいます。
 内国為替も外国為替も取引の決済を銀行が媒介しますが、外国為替の場合には、取引の相手が外国であるため、外国為替取引、すなわち異なる通貨の交換が必要になります。
 外国為替の例として、輸出手形を用いた輸出代金の決済の方式を下図に示しました。この図は、東京にある輸出業者Aがニューヨークにある輸入業者Bに1万ドル相当の商品を輸出した場合を想定しています。ここでは、Aの取引銀行であるX銀行とBの取引銀行であるY銀行が両者に代わって代金の決済と取り立てを行っています。
 「1ドル=100円」といったように、外国為替相場を外貨1単位と交換される自国通貨の量で表示する方法を「自国通貨建て」といい、「1円=0.01ドル」といったように、外国為替相場を自国通貨1単位と交換される外貨の量で表示する方法を「外国通貨建て」といいます。現在は変動為替相場制が取られていますので、外国為替相場は刻一刻、変動しています。

IMF

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 IMFとは、1946年3月に設立された国際通貨と金融の協力機関である「国際通貨基金」のことです。1944年7月に米国のブレトン・ウッズで開かれた国際会議の協定に基づき設立され、加盟国の出資金で運営されています。本部はワシントンにあり、185か国が加盟しています。発足以来、為替レートの安定を確保するために国際通貨システムを監視し、貿易の障害となるような為替規制の撤廃を進めるなどで国際通貨体制維持の中核的役割を果してきましたが、1973年以降、主要国が変動相場制に移行することによってIMFの役割は次第に変化してきています。近年では、その役割は、開発途上国に対する援助や市場経済移行支援、国際的な通貨・金融秩序の突発的混乱回避などが中心となっています。