アーカイブ : 2010年 8月 13日

ポジション

 ポジションとは、外国為替などの金融取引や証券取引において、売越し、または買越しの状態になっている持ち高のことをいいます。すなわち、その持ち高分だけ相場変動のリスクをとっていることになります。買越し状態を買いポジション、売越し状態を売りポジションといいます。なお、金融機関の資金繰りにおいて、預金等と貸出等の差のことも(資金)ポジションといいます。

リバース・デュアルカレンシー債

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リバース・デュアルカレンシー債とは、発行と償還は円で行われるものの、利払いがドルなどの外貨で行われる債券のことです。投資家にとっては、円建ての債券よりも利率が高い点が魅力ですが、反面為替リスクがあります(償還が外貨で行われるデュアルカレンシー債よりも為替リスクは小さくなります)。なお、リバース・デュアルカレンシー債は、一般にクーポン・スワップを組み込むことで組成されます。

先渡取引

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 一般に、ある商品をある特定の数量、将来の一定の日に、現在定める価格で売買する契約を先渡取引といいます。この点では、先渡取引と先物取引とは同じです。しかし、先渡取引は商品の種類、数量、受渡しの時期、売買の場所等の条件を、すべて売買の当事者間で任意に定める相対(あいたい)の取引です。一方、先物取引は諸条件がすべて標準化、定型化され、金融商品取引所で行われる取引です。また、先渡取引は、期限日に現物を渡すことが原則です。そのため、期限日までの間に取引の対象商品の値動きによって契約を変更したり、解約したりする場合には、相手方との交渉が必要になります。一方、先物取引は期限日前にいつでも自由に反対売買、すなわち売り手は買い戻し、買い手は転売することによって、当初の契約を解消することができます。買戻しや転売はその時点の先物価格によって行われ、買戻しや転売による決済は、当初に成約した先物価格と反対売買時の先物価格との差額の授受(差金決済)で行われます。

TTM

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 TTMとは、銀行が顧客との間で外国為替を売買するときの売相場(TTS)と買相場(TTB)の中間値、すなわち仲値をいいます。午前10時に主要銀行が銀行間市場の実勢に基づいて公表しています。ただし、市場レートが1円以上動いた場合は、特定金額を超える金額については市場相場に応じて個別に対応され、2円以上変動した場合には公表相場の変更が行われることになります。

大証FX

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 大証FXとは、金融商品取引法の施行によって、証券取引所が証券以外の金融商品の取扱いも可能になったことを受けて、大阪証券取引所が創設の準備を進めている、取引所為替証拠金取引を行う市場のことです。大阪証券取引所は、「くりっく365」取引を行っている東京金融取引所に続いて、外国為替証拠金取引を行う日本で2つ目の取引所となります。
 取引の仕組みも東京金融取引所の「くりっく365」取引とほとんど同じで、指定されたFX取引参加者がマーケットメイカーとして、取引システム上で売り・買いの呼値を提示します。取引の成立は一取引日の立会時間、または一取引日の前取引日の立会終了時におけるロール・オーバーによって成立します。また、当該一取引日の立会時間中の転売もしくは買戻し、または当該一取引日の立会終了時におけるロール・オーバーにより消滅する「限日取引」です。なお、ロール・オーバーの場合、2通貨間の金利差を調整するためにスワップポイントが発生します。決済は差金決済のみとなります。

信用状

信用状,しんようじょう,シンヨウジョウ

 信用状(L/C)とは、国際間の貿易取引において、輸入地における信用力のある金融機関が、輸入業者の発行依頼により、輸出業者宛に発行する、輸入代金の支払を保証する書面のことです。
 貿易取引においては、相手の信用力を調べることは容易ではなく、特に輸出業者にとっては、国内取引以上に大きな資金回収リスクがあります。しかし、信用状が発行されていれば、輸出業者は、信用状を発行した金融機関の提携先(コルレス先)に、信用状と船積書類等を添えて輸出為替手形の買取りを請求することにより、船積後直ちに代金を回収できます。
 信用状には、船積期限、積出地、仕向地、物品の名称、事故の際の保険の内容、代金の支払方法その他が記載されています。なお、信用状は有効期限付きで発行されますが、いったん発行されてしまうと通常は途中で取り消すことはできません。

通貨バスケット

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 通貨バスケットとは、為替相場管理方式の一つで、自国との主要取引国の通貨を取引高の加重平均で構成する通貨バスケットを作って、その動きに自国通貨を連動させる仕組みのことを指します。一国の通貨だけに連動させる政策(たとえばドル・ペッグ制)の場合に比べれば、金融政策が自由に決められること、為替相場の安定が望めること、等のメリットがあります。
 このため、ドル・ペッグ制を採用していた東アジア諸国の多くが、アジアの金融危機の後、通貨バスケット方式に切り替えました。アジア通貨危機後もドル・ペッグ制を続けていた中国も、2005年7月に通貨バスケット方式に変更しました。
 ただ、通貨バスケットの構成比の決定方法が複雑であり、実施した通貨バスケットへの連動が実際に行われているかが不透明であるなどの問題点も指摘されます。わが国は、過度にドルに依存し過ぎているアジア新興国などの通貨を、ドル・円・ユーロなどで作るバスケットに連動させることを提案してきました。円の国際化を進展させるとともに、これら地域各国の経済の安定にも貢献することになるというのがその理由です。

クロス・レート

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たとえば、円とドル、ドルとユーロのように2つの為替相場を通して、ユーロの対円為替相場を計算する場合に用いられるドルとユーロの為替相場のことをクロス・レートといいます。1ドル=125円である場合、1ドル=1.04ユーロのクロス・レートを用いれば、1ユーロの対円相場は、125÷1.04=120.19円と計算できます。

為替ブローカー

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為替ブローカーとは、外国為替市場において、為替銀行相互間の為替の売買を仲介する業者のことです。手数料を徴収して為替取引の媒介をするのが業務で、自らは為替売買の当事者にはなりません。
 為替銀行間の取引を銀行間取引といい、その市場をインターバンク市場といいます。銀行間取引は、為替ブローカー経由で行われるものと、為替銀行同士が直接取引するものがありますが、銀行同士の取引は相互に満足する出会いが少ないため、ブローカー経由の取引が大半を占めています。

為替先渡取引

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 為替先渡取引とは、将来の一定の時期において、為替の受渡しを約束する相対取引のことです。わが国では、金融商品取引所における為替先物取引が開始されるまでは、この取引も先物取引と呼んでいましたが、現在は、金融商品取引所で行われる先物取引(フューチャーズ取引)に対して、店頭で行われる現物先渡しの相対取引を先渡取引(フォワード取引)と呼び区別しています。取引所における先物取引は、「金融商品取引法」に基づいて行われますが、先渡取引は相対の取引であり、価格や数量について標準化されたものはありません。また、通常、反対売買や差金決済もできません。